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サ道

[2024.08.14]

オリンピックも終わってしまい、久しぶりの休みにゴロゴロしています。
昨今 サウナがブームのようです。テレビや雑誌などでも「サウナ特集」が組まれているほどです。ここで皆さんは、「ははぁ。さては、猪川先生は「自分はブームになる前からのサウナ好きで」「にわかファンとは違う」「サウナのたしなみ方はこうです!」などと、うんちくを語る気だな?と思ったことでしょう。残念!ハズレです。実はその真逆!わたしはサウナの魅力が全くわからないのです。なぜって?それはサウナがとにかく暑すぎるからです。サウナに入った途端、皮膚が焦げるかと思うような暑さ。あれのどこが気持ちいいんでしょう??たとえば、真夏に40度の猛暑日になったら、みんな暑くて参ってしまうはず。「うわーい。今日は暑くてタダでサウナに入れてる気持ちだ!」等と喜ぶ人は皆無でしょう。それなのに、それよりも遙かに高温、100度にも及ぶ部屋に入ってうっとりしてる。これは何かの集団催眠か??そう思うのです。40度の炎天下はダメで100度のサウナはなぜ「気持ちいい」のでしょう?あれはもはや修業だと思うのです。私がサウナの良さを理解できない理由は、暑すぎることだけでは有りません。苦手な理由その2は、「風景が異様」と言うことです。サウナに入り周りを見渡すと、汗だくになった暑苦しいおっさんが、暑苦しい小部屋で、「ふぅーっ」とため息をつきながらひしめいている。お世辞にも心地よい環境とは言えません。たとえばこれが満員電車ならどうでしょう? 汗だらだらのおじさんが満員電車で隣にびったりくっついてきたら。。。そんなことを考えるからリラックスできないのかも知れません。たとえばTVで見るような、格好いい若者グループと、キレイなお姉さん達が一緒にサウナに入り、談笑するというようなシーンなら映えるのかも知れませんが現実はそうは行きません。例えそうだったとしても、そこに私が入ったら一気にぶちこわしですね(^^;)
 そして、私がサウナでリラックスできない理由その3として「意味のないライバル意識」という問題があります。ライバル意識とは、「サウナに入って、すぐに出たら我慢の出来ないやつと思われ格好悪い」という、自分に課したなぞのプレッシャーです。そのため、ついつい無意識に「ライバル」を頭の中で決め、「あのオッサンが出るまで我慢するぞ」と考えてしまいます。競争時代を生きてきた世代の悲しい性(さが)なのでしょうか。いまのゆとりの世代には理解できないのかも知れません。さらにサウナ室にはナゾのカースト制度があります。それは「猛者ほど高い座席に座る」と言うことです。そうです、熱い空気は上に行くのです。理科で習いました。だから、より暑さを堪能したい猛者は、躊躇せず最上段に座るようです。ですから私も、ここは躊躇せず上段に座るのが男の美学。たまに、2段目が空いていないと「残念。下しか空いてないかぁ!!」という感じで1段目に座れるのですが、今日はダメだった。2人しか居ないのに、両者とも2段目だ。ここで下に座ると、抜群にかっこわるいぞ。この段差カーストと、「どちらが長く入っていられるか勝負」に勝つためには、対策はサウナに入る前から始まっています。まず、少しでも戦いを有利に進めるために、体を冷やしておく必要があります。普通は水風呂はサウナで温まった体を冷やすために入るものですが、私の場合は「予防投与」。これが非常に効果的。つまりまずしっかり体を激冷えにしておいてからサウナに入る。こうして体を冷やしておくという「ドーピング」をしておくと、その後の闘いが有利に進みます。そのためには、体が縮み上がるおもいで水風呂に入ります。別名寒中禊ぎです。さらに、タオルを冷たく冷やしておきます。これも有効です。冷たいタオルを頭に巻いておくと、1分はその「冷たパワー」が持ちます。冷たいタオルと、冷え切った体。この二つがあればほぼ勝負には負けません。しかし、時に問題となるのが「サウナ猛者」の存在です。「ターゲット」に決めた相手が、この「サウナ猛者」だった場合が悲劇です。サウナに入って数分後こちらの「ドーピング」の勢いもなくなってくると、心は「あの、オヤジ早く出てくれないかな。。」という、リラックスとは無縁のストレスマックス状態になります。勝手にターゲットにされたおじさん、、、ごめんなさい。ですがその時はそんな余裕はありません。ここからは、自分の精神力が試されます。まずは相手に「こちらが、つらくなっている」事を悟られないように、顔は平静を装います。ため息などもってのほかです。そして冷静にライバルを観察します。おっ! 相手はそわそわしてるぞ!「よし。もういいだろ。早くでろ!!」。しかし相手はまだ出ません。うーん。相手にとって不足無し。そこから1分。。。ノドも熱い。頭も熱い。もうダメだ。。。潔く負けを認めよう。。。いや!だめだ。ここで諦めたら男が廃る。ここは精神力で頑張ろう。オリンピック選手もこういうつらい場面を乗り越えてこその栄光だよね。これは、もう一つのオリンピックだ。そう思い直し再び闘いに立ち向かうのであった。お!!相手が腰を上げようとしてるぞ。おしりを持ち上げた。よし! やった!! 勝った!!! 長かった。いい勝負だったよ。名もないおじさん!! と思ったのつかの間、そのおっさん、どっしりと座り直すではないか。「フェイント」をかけるとは敵もさる者。。。その時、一人の若者が声をかけてきた。「ロウリュいいいでしょうか?」 「…? 何のことだ??」よく解らないのだが「いいですよー」と返事。そうするとおもむろに、サウナの石に床に置いてある水(?)をかけるではないか。おー、若者!! 気が利くなぁ。サウナが暑すぎるから「冷まそう」としてるのか、、、と思ったのもつかの間、すさまじい蒸気と熱風が、全身を襲うではないか!!「もう限界だったのに、なんて事してくれるんだ!若者!!」しかし、隣のライバルオッサンは、「ぷふーぅ。いいねぇ」と言っている。さすがだ。乾燥してるより湿気が有る方がもっと暑くなるのね。。。勉強になりました。もう負けでいいや。。そう思ったとき、例のオッサンがおもむろに立ち上がって(今度こそ)出て行ったではないか!!やった。ロウリュのおかげだ!!若者good job!! 今まさに僕はやり遂げた。苦しい戦いだったよ。おじさん!いい試合だった。歴史に残る名勝負を制したすがすがしさ。これがととのう と言うことか?いや、きっと違う気がする。さて、こちらももう限界、そろそろ出よう。。。いや待て。今出たら「後から入ってきたくせにすぐ出た」となるかも。。しかも水風呂であのオッサンとまたも隣り合わせになる。。あのオッサンの汗が混じった水風呂。。それはイヤだ。よし、もうちょっと我慢だ。。あと1分だけ頑張ろう。。。。どうしてこうなる?全然楽しくない。自分のなにがわるいのだろう。どこに反省点があるのだ??
1分後、「まだまだ余裕はあるが」「この程度で辞めておくか」と言う顔をしつつ、名残惜しそうにサウナから出る。ともかく、勝利の余韻をかみしめ、水風呂に向かう。しかしここでも試練が待っている。猛者は、水をさっと掛け流し、ザブーンと水風呂に入る。あれって、感覚が麻痺してるのか?? 豪快に入ろうと思っても、どうやってみても「冷たすぎる」のだ。
むかし子供の頃、水風呂の中にお風呂から洗面器でお湯を足して、よそのおじさんに怒られたことがあったっけ。あの水風呂、どう見ても冷たすぎる!!しかし、冷たそうな顔をして、びびりながら、ちょびちょび入るのも粋じゃない。ここでは、まさに涼しい顔をして、すーっと入る。うっ。つつつ、、冷たい!! だがそんなことはおくびにも出さす「うーん。最高だ」と言う表情を忘れないことも大切なポイントだ。水風呂に入っていると、周りに体温のベールが出来て、あまり冷たさを感じなくなる。オーこれなら、結構入っていられるぞ!!そう思ったのもつかの間、さっきの若者が水風呂に入ってきた。ザブーン。うわー。波がこっちに押し寄せて、せっかくまとった「ぬる湯バリアー」が剥がれた!!寒ーい!!しかし、これくらい体を冷やさないと、2回戦を有利に戦えないぞ。先ほどの反省を生かし、もう少し体を冷やそう。。ようし。どうせなら水面に鼻と口だけ出して、頭も冷やそう。そうだ、さっきの戦いが苦しかったのは、頭を冷やしていなくてのぼせたからなのだ。私は成長した。苦しい戦いから学ぶことは多い。そう思って、頭を水につけていると、頭がグルグル。。。。。しかも回転性ではなく、景色が上から下に流れていく。経験したことのないめまいだ。内耳性でこんなめまいが出るんだろうか?このめまいはどういうメカニズムなんだろう? と変なところで職業病が出る。むむっ? まてよ、これがまさに「ととのう」ということか? じゃあ、この際もっと頑張ってみよう。しかし、、、どんどんめまいはひどくなり、風呂の中で溺れそうになった。「これはまずいやつだ!」そう思って、立ち上がろうとしたが、頭がグラングランで、足もよろける。。まずい!!ここで転んだらかっちょわるいぞ。。出来るだけ平静を装い、何とか水風呂から脱出した。もうだめだ。。そう思ったとき目の前にベンチがあるではないか! やっとの思いで倒れるように空いているイスに腰を下ろした。これはまずい、、吐きそうだ。全然気持ちよくない。。倒れそうだ。意識も危うい。でもここで、救急搬送になるわけには行かないぞ。ここは最後の精神力だ。吐き気と、めまいと、寒さでもう何が何だか判らない。。。意識が遠のく。。大丈夫かなぁ。つらい。。
……1時間後、不意に目が覚めた。いつの間に1時間も?この間完全に意識がなかった。よかった。生きてたよ。血管も切れてなかった。脳梗塞も起きてなかった。ありがとう、サウナの神様。
 よし!! 2回戦!! 。。。絶対無理です。

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