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腰まがり(後わん、側弯)

本稿は大人になってからの腰曲がり、そくわん症を解説します。

 腰曲がり

私たちは「腰を反らせて上の作業をする」よりも「腰を曲げて下の作業をする」方が圧倒的に多いと思います。それが長年つづくと骨の間に有るパッキン=椎間板 が曲がったまま戻りにくくなります。1つではたいしたことなくても、それが複数の椎間板に及ぶと腰が「くの字」に曲がって伸びにくくなる、いわゆる「腰曲がり」となります。また骨粗鬆症が有る方では、腰骨に椎体骨折(圧迫骨折)を起こして一気に腰曲がりが生じる方もいます。「トシだからしょうがない」と周りから言われたり、自分であきらめている方が多いですが、本当にそうでしょうか?腰が曲がったままということは、1日中天井の低い洞窟の中で、かがんだ状態のまま生活するようなものです。ご家族に腰曲がりの方がいたら、そのつらさを想像してみて下さい。1日だけでいいので自分の肩の高さが天井だと思って、その高さに腰を曲げて生活してみて下さい。つらさがわかると思います。

 そくわん症(大人の側弯)

腰骨や背骨の間に有る、椎間板が「片減り」してくると、横にかしがります。(ソファがいつも座っている場所がへたる現象に似ています)。そうすると他の椎間板にもだんだんとかしがる力が掛かり、気づいたときには大きく横に倒れてきます。腰曲がりに比べて目立たないので周りの人も心配してくれないのですが、バランスが崩れた側弯の患者さんは非常に日常生活に不自由がでます。また「片減り」により神経の通り道が狭くなると、神経は骨と骨に強く挟まれてしまいます。

 治療

まずは、「曲がってしまった骨のパッキン」を整える体操をします。私が医者になったとき教授だった、腰曲がりの大家 竹光義治先生は、よく患者さんに「腰を伸ばす体操をしなさい」と指導されていました。腰を伸ばす体操は、1度にまとめて何回もするよりも、「思いついたら」「何かのついでに」(たとえば「立ち上がったついで」「トイレに行ったついで」「テレビをつけたついで」「電気をつけたついで」のように)やるのがコツです。私の患者さんでも半年間の「ついでに体操」で見違えるほど姿勢が伸びた方がいます。

 こしまがり、側弯に対する手術 

曲がって固まってしまった場合は、背中に金属製の支えを入れて、できる限り真っ直ぐになるように整える手術を行う事もできます。しかし骨粗鬆症で骨が弱いとボルトが「ぬかに釘」となり、せっかく真っ直ぐに支えても、直ぐに壊れることがあります。そのため骨粗鬆症をまず改善してからの手術となります。思い当たる方は1日も早く骨粗鬆症の治療を始めて下さい。腰曲がりで困っている方はご相談下さい。新しい治療として、横っ腹に小さなキズで内視鏡と同じような筒状の器具を入れて、傷んだ椎間板の代わりに、人工のパッキンを入れる方法が有ります。私が新米の頃に教わった手術に比べビックリするくらい小さなキズで、出血も少なく非常に回復が早い方法で腰曲がりが治ります。手術について詳しく知りたい方は遠慮なくご相談下さい。

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